歯医者は、内科や外科を備えた病院と同様に、患者さんの命を預かる場所と言えます。というのも、対策が不十分な場合、歯の治療の際に患者さんをウイルスに感染させてしまうリスクがあるためです。感染症を予防するために、歯医者では感染対策をしています。その1つの器具の滅菌があります。唾液や血液を介してウイルスが患者さんの体内に入りこまないように、使用済みの器具はしっかりと手入れをされた後に滅菌されます。
歯科治療で使用される器具の一種に歯科用ハンドピースがあります。ハンドピースとは、歯を削る際などに使われる機器ですが、先端部分に取り付けるドリルの種類を変えることで、様々な治療に対応できるため、どの歯医者にも用意されています。使用される頻度が高いことから、滅菌の重要性も高い器具と言えます。
内部も徹底して滅菌される
滅菌をする前の手入れとしては、洗浄と注油が実施されます。これにより、滅菌の効果が正しく得られます。洗浄では、まずは外部ではなく、内部を徹底して洗う点がポイントです。内部に付着しているオイルや切削粉、血液細胞、唾液などを除去します。この後、外部の洗浄もしますが、その前にオイルメンテナンスを挟みます。ネジ部分やギア部分など、全部で4ヶ所に注油をすることで、ハンドピースの摩耗を防ぎます。注油の後、余分なオイルを抜いた後に、今度は外部を洗浄します。外部は冷水に加えて、熱水での洗浄もされます。その後、ようやく滅菌がされます。ハンドピースの手入れは、多くの場合専用の設備によって実施され、およそ10分程度で完了します。
滅菌されるのは本体だけではありません。先端に取り付けるドリルも、当然洗浄や滅菌がされます。ドリルを洗浄する際は、多くの場合洗浄機のような専用の設備が使われます。その後、滅菌の際には「オートクレーブ」という滅菌器を用います。歯医者に限らず、様々な医療機関で活用されています。滅菌できるレベルによってクラス分けされており、最高レベルのものは世界でもっとも厳しいと言われるヨーロッパの滅菌基準をクリアした「クラスB」に該当します。あらゆる種類や形状の菌を死滅させられるため、クラスBのオートクレーブを導入している歯医者は安心して利用できます。例えば、松本市のこちらのデンタルクリニックなどに導入されています。
このように、多くの歯医者ではハンドピースと先端に取り付けて使うドリルを、高い効果を持つ設備を使って徹底的に滅菌し、患者さんがウイルスに感染することを防いでいます。通院する歯医者を探す時は、歯科医師の治療の腕や治療費を気にする方がほとんどでしょう。確かに大事な要素ですが、歯や口の健康だけではなく、体の健康を守ることも考えると、滅菌のための設備についても意識して歯医者を選ぶことをおすすめします。ホームページを持っている歯医者ならば、施設案内などのページで設備について紹介されているケースが多いため、通院の前にチェックしてみましょう。